精密機械は、ただ運べばいいわけではない。高付加価値輸送を支える「運ぶ技術」とは
先日、当ブログで、
「北陸新幹線だけではない。京都で始まる『高付加価値物流』の時代」
という記事を書きました。
「北陸新幹線だけではない。京都で始まる『高付加価値物流』の時代」 👈
北陸新幹線をはじめ、半導体、研究開発施設、データセンター、医療・ライフサイエンスなど、これからの京都では高い輸送品質を必要とする設備が増えていく可能性があります。
では、そもそも「高付加価値輸送」とは何でしょうか。
高価なものを運ぶことでしょうか。
運賃の高い仕事をすることでしょうか。
私たちは、そうではないと考えています。
「運べない」を「どうすれば安全に運べるか」に変えること。
そこに知恵を使い、車両を考え、道具を揃え、人を育て、輸送工程そのものを設計する。
それが、私たちの考える高付加価値輸送です。
精密機械輸送は「トラックを手配する仕事」ではない
一般貨物であっても、荷物を安全に目的地へ届けることが運送会社の基本です。
しかし、精密機械や研究設備、医療機器などの輸送では、さらに多くのことを事前に考えなければなりません。
例えば、
・機械の寸法、重量
・重心位置
・振動や衝撃への配慮
・雨濡れへの対策
・積込方法
・固縛方法
・搬入先の高さや幅
・道路条件
・時間指定
・荷役方法
・万一の場合の保険
などです。
つまり、
「10トンの荷物だから10トン車を手配する」
だけでは、仕事は成立しません。
荷物の特性と現場条件を理解した上で、
「どう運ぶのが最も安全なのか」
を考えるところから、私たちの仕事は始まります。

だから私たちは、車両から考える
当社には、大型平アコーディオン超低床エアサス車があります。
この車両は、既製品のトラックを買ってきただけのものではありません。
背の高い精密機械を安全に輸送するため、車体構造を検討し、内高2,830mmを確保。
さらに総輪エアサスペンション仕様とし、アコーディオン部分は前後どちらにも開閉できるようにするなど、実際の輸送現場を考えながら仕様を決めています。
車両をつくる時に考えているのは、
「何を付ければ豪華になるか」ではありません。
「どうすれば、今まで運べなかったものを安全に運べるようになるか」
です。
そのために必要な車両や設備への投資を、私たちは惜しまない会社でありたいと考えています。

良い車両だけでは、良い輸送にはならない
エアサス車を持っている。
低床車を持っている。
特殊な車両を持っている。
もちろん、それらは精密機械輸送において重要です。
しかし、それだけで輸送品質が決まるわけではありません。
機械のどこに力を掛けるのか。
どこを養生するのか。
どの方向への動きを止めるのか。
道路状況を考えて、どのルートを選択するのか。
そして何より、少しでも不安要素があれば「これで大丈夫だろう」で出発しないこと。
道具を持っていることと、道具を使えることは違います。
車両を持っていることと、その車両の能力を引き出せることも違います。
精密機械輸送では、こうした一つひとつの判断の積み重ねが輸送品質になります。

「運べません」で終わらせず、運び方を考える
過去には、大型車で工場から精密機械を引き取りながら、納品先建物の高さ制限によって大型車が入れないという輸送もありました。
だからといって、
「大型車が入れないので運べません」
では終わりません。
途中で小型車へ積み替える。
どこで積み替えるのか。
積み替え時にどうやって機械を守るのか。
最終搬入にはどの車両を使うのか。
そうした工程まで考えて、一つの輸送を完成させます。
私たちが目指しているのは、単に依頼されたトラックを出す会社ではありません。
お客様が抱えている輸送上の問題に対して、
「こうすれば出来るのではないでしょうか」
と一緒に考えられる物流会社です。

最後に品質を決めるのは「人」
当社では、車両や設備への投資だけで輸送品質が完成するとは考えていません。
最後に荷物に触れるのも人。
運転するのも人。
現場で判断するのも人。
そして納品先でお客様と接するのも人です。
どれほど高価なトラックを用意しても、最後の納品先で挨拶もできなければ、それまで積み上げてきた輸送品質を一瞬で失うことがあります。
だから私たちは、安全教育や運転技術だけではなく、
「お客様から預かった大切なものを、自分たちが代表して届けている」
という意識を大切にしています。
精密機械の向こう側には、その機械を設計した人がいます。
製造した人がいます。
販売した人がいます。
そして、その機械が届く日を待っている人がいます。
私たちが運んでいるのは、単なる「荷物」ではないのです。

代表である私自身が、車両づくりに関わる理由
私はもともと自動車整備の仕事を経験し、その後、家業である物流の世界に入りました。
今でも新しい車両を導入する際には、
「この床高で本当にいいのか」
「あと数センチ内高を確保できないか」
「このフック位置で現場は使いやすいのか」
「雨の日でも安全に作業できるのか」
といった細かな部分まで考えます。
正直、そこまでしなくても荷物を運ぶことはできます。
もっと一般的な仕様にすれば、車両も安く作れるかもしれません。
しかし、私たちが欲しいのは「普通に荷物を運べるトラック」ではありません。
お客様が困った時に、解決策の一つになれるトラックです。
そして、その車両を使いこなせる人を育てる。
車両と人。
この両方に投資し続けることが、たちばな運輸の輸送品質だと考えています。

京都で「難しい輸送なら、まず相談してみよう」と言われる会社へ
北陸新幹線、半導体、研究開発施設、データセンター、医療・ライフサイエンス。
京都でもこれから、高い輸送品質を必要とする設備や機械が増えていくでしょう。
私たちは、「北陸新幹線の仕事を取りたいから」精密機械輸送を始めたわけではありません。
ずっと以前から、目の前のお客様の
「これを安全に運べないだろうか」
という相談に一つずつ向き合い、そのための車両を作り、人を育て、経験を積み重ねてきました。
その積み重ねの先に、これからの高付加価値物流があるのだと思います。
だから、私たちが目指しているのは、
「何でも運びます」という会社ではありません。
むしろ、
「難しい輸送なら、一度たちばな運輸に相談してみよう。」
そう思い出していただける会社です。
出来ることは出来る。
出来ないことは出来ない。
しかし、出来ない理由を並べる前に、出来る方法がないかを考える。
そんな物流会社であり続けたいと思っています。

物流は、社会を止めないためのインフラ
以前、京都経済短期大学で「なぜ私は西京区から出ないのか」というテーマでお話しする機会をいただきました。
その際、学生の皆さんに伝えたことがあります。
物流は、単に荷物を運ぶ仕事ではありません。
工場を動かし、研究を支え、医療を支え、人々の生活を支える。
社会を止めないためのインフラです。
私たちはまもなく創業70年を迎えます。
これからも京都・西京区に根を張りながら、次の10年、20年、その先の京都の産業を物流から支えられる会社でありたいと思っています。
車両だけでもない。
設備だけでもない。
人だけでもない。
そして、価格だけでもない。
車両 × 技術 × 人 × 経験 × 提案力。
そのすべてを積み重ねて初めて、「高付加価値輸送」になる。
私たちはそう考えています。
たちばな運輸株式会社は、これからも「運べるか、運べないか」だけではなく、
「どうすれば、安全に運べるのか」
をお客様と一緒に考える物流会社であり続けます。
輸送についてお困りのことがございましたら、完成した依頼内容でなくても構いません。
「こんなものを運びたい」
「今の輸送方法に不安がある」
「この条件で搬入できるだろうか」
そんな段階から、ぜひ一度ご相談ください。
一緒に、最適な方法を考えさせていただきます。

