精密機械の輸送について
精密機械を運ぶ上で気にしないといけない事。(依頼側が気にするポイントを輸送会社の視点で考えるブログ)
また、輸送する側として一品モノを運ぶという心構え(これをミスするとどれだけ影響があるのか)
その製品が届かない事で起こる事柄、関わる人の多さという事を理解せねばならない。
とりあえず運賃がいいので、自社は手数料だけ抜いてどこか適当な走ってくれる会社に任せとけばいいという考えは完全にNG
信頼のある実運送会社として出来る事、などを書きましたのでご覧ください。
こんにちは。いつもお読みいただきありがとうございます。
今回は取扱いの難しい、精密機械の輸送のお話を出来ればと思います。
精密機械といえば、どんなイメージがありますか?
パソコンやスマートフォン、カメラなど日常で使われる小さな精密機器をイメージされると思いますが、産業用ロボットや半導体などBtoBの輸送となるともっと大型の精密機械が多いです。
とてもデリケートで、振動や衝撃に弱く、取扱いに最大限の注意が必要です。
精密機械の輸送を依頼される前の注意事項
精密機械の輸送を依頼する時って、やはり製造した側からするとちゃんと届け先に無事に届くかが心配ですよね。もし荷崩れなんかしたらどうしよう?
自責ではないものの、追突とかされたらどうしよう?製造日数もかかって一品物の超高額な精密機械なので、代わりはない・・・考えればキリがないくらい心配事は多いですよね。では輸送依頼をする時に、依頼する側として輸送会社のどこを見るべきなのでしょうか?
たちばな運輸ならまず、この7点は必ず確認する点を挙げてみました。
1:トラックが振動などを吸収するエアサス仕様である事
2:荷締めや緩衝材などの道具が十分に揃っている事。また、トラック側にフックなどの装備が充実している事
3:トラックが綺麗である事(汚いトラックで億単位の精密機械を納品すると、購入された側も非常に心配になる)
4:商品価格をしっかり賠償出来る保険に入っている事(他責の追突などは要注意)
5:安全を最優先に運行出来る業者である事
6:運行会社で、しっかりとトラックのデジタコやドラレコにGPS等で管理できる事
7:納品先に行ってキチンと挨拶出来る常識のあるドライバーである事(これ超重要、ここで印象悪いと一発で信用を失ったりクレームが来る)
挙げ出すとキリが無いですが、まずはこんな感じではないでしょうか。
トラックが振動などを吸収するエアサスである事
こちら関しては総輪エアサスが望ましいですが、これに関しては指定があるなどお客様と相談かと思います(当社の大型トラックは全車総輪エアサス)
荷締めや緩衝材などの道具が十分に揃っている事。また、トラック側にフックなどの装備が充実している事
こちらは機械を固定する時に十分な道具(ラッシングベルト、発砲等の緩衝材やあて毛布、レバーブロックにワイヤーやシャックル、リン木に高さ調整する為の小さなバン木、アテゴム・・・etc)があるかという意味合いですが、道具だけでなくトラック側にも充実した内カンなどのフックがついてないとダメです(当社のトラックは全車エアラインレール装備)。完成車などはフック数が少ないので、荷締めにかなりの時間を要し、積込などの労働時間にも大きく関係します。また、ウイングやアオリを開けた時に、荷台がきちんと整理整頓されていないのもNGです。
トラックが綺麗である事(汚いトラックで億単位の精密機械を納品すると、購入された側も非常に心配になる)
これはかなり重要なポイントとなります。自分に置き換えて、例えば高価な家電製品を購入したとしましょう。ものすごく汚くボロボロの車で納品されたら心配じゃないでしょうか?納品される側は大金を払い設備投資されておられます。少しでも心配になるような原因は取り除くべきです。ただ、絶えず新車で納品という意味合いではありません。長年使用してきた年季の入っている車両でも、キチンと綺麗に手入れさえしていれば、それはエンドユーザーの方にもその気持ちは十分に伝わります。
商品価格をしっかり賠償出来る保険に入っている事(他責の追突などは要注意)
俗に言う運送賠償保険ですが、例えば5,000万の機械を運ぶのに1,500万までしか担保されない荷物保険しか加入していないという事がよくあるので、依頼される時に確認が必要です。
また、よく言われるのが「荷主側で加入しているので、不要である」なのですが、これも本当に万が一の際にその保険が使えるのか?求償権代位請求放棄特約は付いているのか?なども確認が必要です。実運送と荷主の間に大手物流会社などが絡んでいる場合、口頭だけの確認な上に挙句「荷主さんにそんな事聞けない」などと言われる事があります。
最後に重要なのが、他責で追突などされた場合です。
これは自車は充分な賠償額の保険に加入してはいますが、他責事故の場合(もらい事故)は通常の保険商品では賠償されません。また、その相手車両の保険で破損した積み荷の賠償金をカバー出来ないような高額事故の場合、後に訴訟などでかなりの時間を要する事が予測されますし、一品モノの機械の代わりも無いので納品先の製造ラインにも影響が出てしまい、後に損害賠償請求の可能性もあります。
特に小規模運送会社のトラックなどに追突されて保険でカバー出来ない場合、その賠償金を回収するのは絶望的と言っても過言ではないでしょう。保険はあくまでお金だけが支払われるので、そのお金以外に影響がある背景を考えると、想像しただけでも恐ろしくなります。
別建てで追突などにも対応出来る単発の保険商品があるので、保険会社に確認し加入しておく事をオススメします。
安全を最優先に運行出来る業者である事
「安全は全てに優先する」という言葉があるくらいですので、ここはキチンとコンプライアンス順守で運行してくれる会社を選ぶのは言うまでもありません。繁忙期や今後の国内輸送能力の低下から、例えば800㎞くらいの輸送でもいまだに翌日着で請け負う会社も存在します。
安かろう悪かろうにならないように、各種認証を取得したコンプライアンス企業を選択する事が一番の安心となります。
弊社では外部講師に来ていただき、座学と実技の研修を定期的に行い、ドライバーのスキルアップと安全運転をサポートしています。→詳しくはこちら
運行会社で、キチンとトラックのデジタコやドラレコにGPS等で管理できる事
今のトラックやバスには本当に素晴らしい安全装置が付いています。その中でもいまだに紙タコやGPS管理もされていない業者もまだ多く存在します。順調に運行しているのか?現在地はどこなのか?そういう運行車に対する確認に即答できる事業者を選ばねばなりません。
「今どこ走っているかドライバーに電話で確認する」というやり方が悪い訳ではないですが、キチンとGPSで「どこどこを時速何キロで走行しています」くらい答えられる事業者を選ぶのがベストだと思います。
納品先に行ってキチンと挨拶出来る常識のあるドライバーである事(これ超重要、ここで印象悪いと一発で信用を失ったりクレームが来る)
これは当社は最重要項目と思っております。超高価な仕様のトラックで運んでも、最終の納品先でドライバーの対応が酷ければ、今まで築いて来た出荷から納品までの品質も最低ランクに落ちてしまいます。
極論を言えば、「そんな程度の低い運送屋を使って納品するのであれば、今後はおたくの会社から機械は導入しない」となりかねません。少しのクレームであっても尾びれ背びれがついて大きなクレームに繋がりかねませんので、注意が必要です。
ざっくりですが、上記を注意して輸送会社を選定するとトラブルは起こりにくいかと思われます。
次に運ぶ側として一品モノを運ぶ時の心構えですが、どういう心構えで輸送するべきでしょうか?
どのような依頼品の輸送であっても最大限トラブルは避けねばならない、無論これはどの物流会社も同じ考えで業務は遂行しています。
例えば大量ロットの商品を輸送中に破損したとします。飲料パレットの荷崩れ事故などはよく聞く商品事故です。その場合、責任がどこにあっても代わりの商品はまだ手配は可能です。先に代替え商品を手配し、後の話し合いで保険賠償というのが一般的な流れかと思います。
もちろんこのパターンでも多くの方に迷惑はかかりますが、代替え商品が存在するのでまだ限定的な影響かと思われます。
しかし、これが代わりの無い商品の事故だとどうなるでしょうか?どれくらい関わる方に影響があるでしょうか?例えば大型の精密機械を輸送中に事故で全損になったとします。代替えは無く、世界に一つだけの精密機械です。
本来なら指定日に予定通り納品できるので、その日の納品先にはそこの役員の方に製造メーカーの営業の方、荷受けして搬入する業者に試運転調整するエンジニアの方等々、多くの関わる方が待っておられます。関わる人の数だけでも多くの方がおられるというのはご理解いただけると思いますが、更に納品翌日からその機械がフル稼働すると予定していたとすると、その生産する予定が全てパーになってしまい、その分の損害賠償なども考慮するととてつもない賠償金になるのは容易に想像できるかと思います。
しかしながら、お金で解決出来るのはあくまでもお金だけであり、それに付随する部分はそうそうすぐには解決はできません(信用含め)。
よってこのような一品モノを輸送する時は、「絶対に輸送事故が起こってはいけない」「何かトラブル起きそうな部分は徹底的に排除する」「安全は全てにおいて最優先である」という最も原則的な事柄を守って輸送業務にあたる事が最重要課題となります。
精密機械輸送の輸送費は他の一般貨物輸送に比べると、輸送単価も高めに設定されていることが多くあります。その背景には、こういう細心の注意を払う事柄や専用の車両、確実な運行業務を遂行してくれるドライバー等々、そういったコストが反映されているので高単価となっている訳です。
しかしながら、世の中にはこの高単価に旨味を覚え、水屋に流す業者も多く存在します。そういった業者は問題が起こった場合にトラブルが長引く場合も多いので、輸送業者を選ぶ際には十分に気をつけられる事をオススメします。
当社は数々の輸送経験があり、無理な運行スケジュールを組んだりはしません。安全安心に輸送したいと思われている方は皆と思いますが、もし今の輸送業者に不安な部分などありましたら、是非ともお声掛けください。膝を突き合わせ本音で意見交換をし、きっと御社の力になるでしょう。
どうぞよろしくお願いいたします。
お読みいただきありがとうございました。